江戸幕府艦隊のフラッグシップ『開陽』
江戸幕府というとオサムラ~イ!な時代を想像しますが、幕末の頃には近代的な海軍を有していました。その中で当時最新最強と呼ばれたオランダ製の旗艦が、夜明け前を意味する「開陽」。全長72.8m、3000トン級の軍艦で戊辰戦争時に活躍するのですが…
大政奉還後、行き場を失う幕臣たちを載せ、開陽は蝦夷に向かいます。しかし、箱館戦争の最中に寄港した江差沖で座礁、国内での活躍はわずか10ヵ月で海底に沈んでしまいます。旗艦を失った旧幕府軍は敗色濃厚となり、半年後には五稜郭で新政府軍に降伏をするのでした。
江差町には設計図を元に復元された開陽が展示されています。そこへの足となるJR江差線が来春で廃線となってしまうため、9月3連休を利用して旅立ちました。
まずはJR函館駅から。函館本線で貨物列車の脱線事故があり、運休していた札幌行の特急が朝から運転を再開したのがこの日でした。後に、事故の原因はJR北海道のレール保線に問題があったとが判明しますが…
来年の5月で廃止になってしまう江差線の普通列車江差行きに乗ります。この時は2両編成でしたが、帰りは1両しかなく・・・3連休もあって、廃止前に乗ろうと考えている人で混雑していました。
途中の木古内で本州から海峡を渡って来た乗客も加わり、立ち席が出るほどの混雑。函館から2時間ばかりで、終点の江差に着きました。江差駅は江差町市街地からは離れているため、ここからけっこう歩きます。
15分ほど歩くと、江差港と鴎島が見えてきました。写真の真ん中に、3本のマストが立っているのがわかるでしょうか?復元された「開陽」です!
入口に着きました。駅からは約20分。ここは道の駅ならぬ「海の駅」なんですね。それにしても、逆光だ。。。
敷地内には、艦載砲だったクルップ砲や…
開陽の錨が置いてありました。他にも…
こんなものが!蝦夷共和国総裁となった榎本武揚は、新政府軍と戦う土方歳三ら陸軍を援護するため、開陽を江差に向けたのでした。しかし、これは…
入館料500円を払って入ると、ありました!全長72.8m、全高45m、推力12ノット。オランダのヒップス造船所で建造された旧幕府軍のフラッグシップ『開陽』(のレプリカ)です!3本のマストがありますが蒸気機関も搭載した、ハイブリッド蒸気船だったのですね。
艦内には桟橋を渡って入ります。2層復元さていて、上が砲甲板、下が住居甲板になっていますが…艦内は撮影禁止となっていて、残念ながら写真はありません。砲撃実体験コーナーやハンモックを吊るした睡眠コーナー(?)など、けっこう面白いんですけどね。
上部甲板は撮影可とのことだったので、さっそく上がってみました。船尾から船首に向かっての写真ですが、長いですよね。ボーイング777-300と同じくらいの全長なのです。
こちらは船首。今は南を向いていますが、1868年、蝦夷開拓の夢を載せて江戸を出航した時は、北へ向かっての航海だったんですよね。幕臣たちは、この先に何を見つめていたのでしょうか。
船首から第1マストを見上げます。16mm広角レンズでもご覧のとおり。高いし幅もけっこうあります。
最後に、船体の背後から。ご覧のとおり船尾側は砂浜になっていて、簡単に近づくことができます。しかし船首側を見るには、海に出るしか無いみたいでした。
ここまで多くの写真が逆光で残念な結果に。鴎島から望遠で撮る手もあるのですが、この時は望遠レンズを持っていなかったので断念して、引き上げました。
いつの日か、もう一度開陽を見に行くことがあるだろうか。江差駅から伸びる鉄路も無くなると、ますます再訪の機会も少なくなるだろうなと思います。
『開陽』と江戸幕府艦隊については、幕末の時代劇で何度か出てきますが、1988年日本テレビ年末時代劇スペシャル「五稜郭」がその生い立ちと活躍を中心に描かれていますので、興味がありましたらぜひご覧ください!
Location:開陽丸青少年センター
JR江差線 江差駅 下車2013.09.22 撮影
2013.11.01 UP