最北の絶景サンセット車窓 宗谷本線

かつて寝台特急トワイライトエクスプレスは、日本海に沈む夕陽を車窓することができるのがアピールポイントでした。水平線に沈む太陽を車窓として見るには、西側に海が広がる路線という条件が必要になりますが、日本海に沿って北上していたこの列車は条件をクリアしていたのです。
北海道にも、日高本線や羽幌線など西向きの海沿を走る路線があったのですが、利用者の減少や自然災害に遭って次々と廃止されてしまいました。
しかし、今でもこの条件をクリアしている、絶景のポイントが1ヵ所だけ残っているのです。それは・・・

夕陽と利尻富士宗谷本線の末端、抜海駅から南稚内駅の間、稚内市抜海村クトネベツ付近になります。短い区間ですが、高台から日本海を眺めることができ、しかも海に浮かぶ日本百名山の1つ、利尻富士も見られます。車窓から見える位置には「利尻富士」と書かれた標柱も立っており、特急も徐行運転されます。
日没とのタイミングが合えば、利尻富士と水平線に沈む太陽を車窓から見ることができるのです。これは最北の絶景サンセット車窓なのです!

ただし、宗谷本線の末端区間は運転本数が非常に少なく、特急は3往復、普通列車は上り4本、下り3本しかありません。日没の頃にこの地点を通りそうな列車は限られます。


絶景サンセットを見れそうな列車

この区間を通る列車は、13時ごろから17時ごろまで、4時間ほど空白がありますが、季節によっては日没頃に絶景ポイントを通過しそうな列車が、こちらの3本あります。早い時間から順に・・・

特急サロベツ旭川13:35発 特急サロベツ1号 稚内行
絶景ポイント通過予想 17:13頃
日没目安時期 2月下旬、9月下旬

特急宗谷稚内17:44発 特急宗谷 札幌行
絶景ポイント通過予想 17:54頃
日没目安時期 3月下旬、9月上旬

普通稚内18:03発 普通4330D 名寄行
絶景ポイント通過予想 18:13頃
日没目安時期 4月中旬、8月下旬



おすすめの行程

では、これらの列車を利用した行程の例をいくつか挙げていきましょう。出発地を稚内か旭川としています。

プラン1 旭川駅発稚内駅着 特急利用

特急サロベツ片道乗車、終着近くで車窓のクライマックスにサンセットを見るプランです。稚内から折り返し特急宗谷で旭川・札幌方面に向かうこともできます。

旭川発 特急サロベツ1号 61D 稚内行
(中略)
豊富発
絶景ポイント通過
南稚内発
稚内着


プラン2 稚内駅発着 片道のみ特急利用

特急宗谷特急宗谷で絶景ポイントを通り、豊富駅で30分ほど待って帰りは普通列車に乗るプランです。折り返さずそのまま旭川・札幌方面に向かうこともできますし、最北の温泉郷、豊富温泉に泊まるということもできます。

稚内発 特急宗谷 52D 札幌行
南稚内発
絶景ポイント通過
豊富着

豊富発 普通 4331D 稚内行
(中略)
抜海発
絶景ポイント通過(日没後)
南稚内発
稚内着


プラン3 稚内駅発着 往復普通列車利用

普通列車往復とも普通列車を利用します。折り返しは豊富駅まで行けますが、乗換時間が3分ほどしかありませんので、日本最北の木造駅舎となる「抜海駅」で1時間ほど待っての折り返しをお勧めします。

稚内発 普通 4330D 名寄行
南稚内発
絶景ポイント通過
抜海着

抜海発 普通 4331D 稚内行
絶景ポイント通過(日没後)
南稚内発
稚内着


おすすめは「プラン3」

抜海駅この中でいちばんのおすすめは、最北のサンセットと木造駅舎を合わせてみることができる「プラン3」になります!普通列車利用なので稚内から往復680円とリーズナブル!
もっとも、抜海駅に着くのは日没後ですし、最北の無人駅で周囲にお店も無く、市街地まで2Kmほどの距離があります。また、この駅は利用客の減少により廃止の話も出ています。利用できるのは、今のうちかもしれません。


もっと観光に活用できるのでは?

宗谷本線は、これまであまり観光路線として活用されてこなかったのですが、2019年7~9月に運行された「風っこ そうや」、2022年5~6月に運行された急行「花たび そうや」と、ようやく観光列車も運行されるようになりました。ただ、こうした専用列車に乗らなくても、今回取り上げた絶景ポイントは通常の定期列車で車窓を楽しむことができます。

そのうえで、北海道、沿線自治体、JR北海道は観光資源をもっと活用することで宗谷本線の利用促進につなげられないものでしょうか。最後に、私が考えたアイディア(妄想)をいくつか載せます。

  1. 絶景ポイントでは、徐行ではなく、どうせなら少しの間でも停車させてはどうか。特急は無理でも、普通列車は先を急ぐこともない。
  2. 稚内発着で、時期によって変わる日没の時間に合わせたダイヤのサンセットトレインを企画し、絶景ポイントでしばらく停車させてはどうか。夏場ならバーベキューやビアトレインにするもよし。
  3. 絶景ポイントには公園を整備し、原生花園駅やラベンダー畑駅のように季節臨時駅を設けてはどうか。キャンプ場を整備。。。は、兜沼駅とかぶるか。

※季節や天候、列車の運行状況などにより、目安とした時期でも必ずしも絶景が見られるとは限りませんので、ご了承ください。
※掲載している写真はイメージです。

2022.06.25 UP